別マザーのBIOSで動かして見た!!

マザーのBIOS交換
 マザーボードのBIOSアップデートはPC自作者の世界では当たり前かと思いますが,別のマザーボードのBIOSで動かしたらどうなるかなんて馬鹿な実験を行う人はそうそういないのではないかと思います。BIOSのアップデートではなくBIOSの交換ですよ。

 一般的にBIOSのアップデートは対象となるマザーボードのBIOSに限定されます。これは,マザーボードを構成するチップやIC等のハードウェアが異なるため当然の事です。しかしながら果たしてそうなのでしょうか?こんな疑問の元,BIOS交換の実験を行いました。その結果報告です。


 私の手元にはPentiumマザーが3枚あります。ASUSのP/I-P55SP4, P/I-P55T2P4の2枚とRISE(M Technorogy)のR528WPです。3枚のマザーボードの主な仕様は次のとおりです。

マザーボードの仕様
 P/I-P55SP4  P/I-P55T2P4  R528WP
 CPU  P54  P54,P55,AMDK5/6  P54,P55
 Socket  Socket 7  Socket 7  Socket 7
 chip set  SiS 5511-13  430HX  430HX
 cash  PB-SRAM(256K)  PB-SRAM(512K)  PB-SRAM(512K)
 slots  PCIx4, ISAx4  PCIx4, ISAx3  PCIx3, ISAx4
 multi I/O  SMC(1P,2S)  Winbond(1P,2S)  UMC(1P,2S)
 USB   なし      あり    あり
 BIOS Maker Award  Award  Award

 T2P4とR528WPの2枚は,マルチI/Oを構成するチップが異なることとPCI,ISAのスロット数が違うだけで,後は似たようなハードウェア構成です。対応CPUはT2P4の方が多くなっています。これらの事から,T2P4のBIOSでR528WPのマザーが動作するような気がします。そこでT2P4のBIOSをR528WPに乗せて見ることにしました。

 まず最初にT2P4のBIOSの複製を作成しました。これには,P55SP4をBIOSROMライターとして使い,新規に調達したフラッシュメモリにT2P4から吸い上げたBIOSを書き込みました。

 次に,R528WPに差さっているBIOS ROMを抜き,複製したT2P4のBIOS ROMを差しました。この後,R528WPのマシンの電源を入れました。


 さて,結果です。システムの立ち上げや終了(Win95の終了やALT+CTL+DELによるリセット)は,不安定ながらもWin95やDOSが起動できました。Win95は起動してしまえば全然問題ありません。
 2〜3回に1回はシステムを立ち上げることが出来ません。BIOSの初期画面は問題なく表示されますので,起動後の周辺ハードウェアの初期化段階において,ソフトとハードの微妙なタイミングのずれによりBIOSがロックアップしているのだと思われます。

 不安定だった現象を次に列記しておきます。

 今回,BIOSを交換して面白い事を発見しました。T2P4のマルチI/OチップはWinbond製ですが,R528WPのマルチI/OチップはUMC製です。この違いがBIOSを交換する時の一番の障害になるだろうと予想していたのですが,結果は良くしたものです。次のリストはBIOSが起動した時の初期画面を写し取ったものです。

     Award Modular BIOS v4.51PG, An Energy Star Ally
     Copyright(c)1984-95,Award Software,Inc.

     #401A0-0203

     PENTIUM-S CPU at 133MHz
     Memory Test:49152K OK

     Award Plag and Play BIOS Extension v1.0A
     Copyright(c) 1995, Award Software, Inc.

     Initialize Plag and Play Cards...
     Card-01:UM8669 Plug and Play Super AT I/O <--- ここに注目    
     Card-02:OPL3-SA3 Sound Board
     PNP Init Completed




     Press DEL to enter SETUP
     05/03/97-82430HX-PI55T2P4C-00

 通常ならば絶対にお目にかかれないオンボードのマルチI/Oチップのプラグアンドプレイインストールの表示が出ています。どうやらオンボードのマルチI/OチップはISAPnPになっているようです。

 T2P4のBIOSはWinbondのマルチI/Oチップを期待しているのですが,それが見つからず,その後PnPのインストール動作を始め,そこでUMCのI/Oチップを見つけたということのようです。

 R528WPの元々のBIOSでは,UM8669......の表示はでませんし,T2P4のBIOSもT2P4で動作させた時にはWinbondのマルチI/Oチップの表示は出しません。ROMプログラムの中にはボードに搭載されているマルチI/Oチップの情報が予め書かれているからなのでしょう。予め分かっているチップを見つけた時は何も表示しないのだと思われます。

 BIOSを交換した時のマルチI/O(パラレル,シリアル等)のI/OポートアドレスやIRQはPnPで適切に設定されているのだと思われます。BIOSの設定メニューではこれらの変更はできませんでした。


 さらに悪乗りしてT2P4のBIOSをP55SP4に乗せてみました。こちらの方は,メインのチップセットが430HXとSiS551xと違う為にBIOSの初期画面を出すこともできませんでした。ただし,画面が何も表示しないということではなく何かゴミみたいなものが表示されていました。やはりチップセットが異なると全然駄目です。

 なお,R528WPのBIOSでT2P4を動かすとどうなるかという逆の実験は行っていません。今回はBIOS交換でマザーボードが壊れる事はありませんでしたが,メーカー保証外の行為ですので壊れても不思議ではありません。実験は面白いのですがメインマシンとして使用しているT2P4が壊れても困るのでこの辺りで実験をやめにしました。



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