マザーボードをBIOSのROMライターとして使う

BIOSロムの複製を作る
 PCの自作もマニアともなるとマザーボードのBIOSアップデートなんて当たり前という方が多いと思います。BIOSのアップデート作業は,フラッシュメモリーにデータを書き込むことですから,うまくやればマザーボードをフラッシュメモリー専用のROMライターとして活用することができます。

 今あるBIOSロムの複製を作ることも,別のマザーボード用のBIOSロムを作成することもできます。めったにBIOSの内容が吹っ飛ぶなんて事はありませんが,非常事態に備え複製品を作っておくのも意味があるかと思います。

 さて、その作業ですが,まずは複製品を作るためにフラッシュメモリーを購入しなければなりません。マザーボードに使われているフラッシュメモリーは,+5Vのもの,+12Vのものがあります。またメモリーのメーカーはIntelやWinbondのものが使われています。複製したいBIOSロムに使われているフラッシュメモリーと同じ型番のものを購入すれば間違いありません。BIOSロムの上には,BIOSメーカーのシールが貼られていますが,それをめくればメモリーの型番が読みとれるはずです。PCショップや電子パーツのお店で購入すればいいかと思います。私は,「ソフトアイランド」で購入しました。


オリジナルBIOSロム
 

今回購入したFLASH MEMORY
(Intel P28F001 BXT150)

 フラッシュメモリーが入手できたら次はフラッシュメモリライタープログラムを入手します。これはマザーボードに付属していたり,無い場合にはインターネットでマザーボードのWebサイトへ行けば入手できるはずです。複製を作る場合には,新しいBIOSファイルの入手は不要ですが,新しいフラッシュメモリに新しいBIOSを書き込みたい場合にはそれも合わせて入手します。

 次に現在のBIOS設定の内容を確認します。確認する所は2点です。第1点は,AドライブからのFD起動が可能となっていること,第2点は,BIOSロムをラムにシャドウイングするようになっていることです。

 それでは,次にROMライターとしての作業手順を紹介します。

    1.  MS-DOSシステムが格納された起動用フロッピーディスクを作成します。CONFIG.SYS,AUTOEXEC.BATは必要ありません。
    2.  マザーボードに添付されたものか,インターネットのWebサイトからダウンロードしたフラッシュメモリーライタープログラムを起動ディスクにコピーします。
    3.  マザーボード上のジャンパー設定をBIOS書き込み可能に設定します。ここまでの手順は,一般的なBIOSアップデートの手順と同じです。各自のマザーボードのマニュアルの内容に従って作業します。
    4.  マシンの電源を落とします。
    5.  今のBIOSチップを一度ICソケットから一旦取り外し,またICソケットに軽く差し戻します。これは,この後で通電中のままBIOSチップを取り外すことになりますので,その作業をやり易くするための準備です。
       マザーボード出荷時点でBIOSチップはICソケットにしっかりと差し込んであります。容易には取り外しができません。ドライバーなどを使って外すことになると思いますが,この時チップの足を折ってしまわないよう慎重に作業します。この段階で足を折ってしまうと全てが水泡に帰してしまいます。
    6.  先に作成した起動ディスクをセットし,マシンの電源を入れMS-DOSを立ち上げます。
    7.  BIOSアップデートの手順に準じ,フラッシュメモリライタープログラムを立ち上げます。
    8.  メモリライタープログラムにて,今のBIOSの内容をフロッピーディスクにセーブします。
    9.  次に今のBIOSチップを取り外します。この時,マシンは通電したままです。また,メモリライタープログラムも起動したままにしておきます。
    10.  用意した新しいフラッシュメモリを今のBIOSチップが差さっていたICソケットに軽く差し込みます。
    11.  メモリライタープログラムにて,先にセーブしたBIOSの内容を書き込みます。
    12.  書き込みが問題無く終われば,ここでマシンの電源を落とすか,リセットボタンを押します。
    13.  新しいフラッシュメモリに書き込んだBIOSでマシンが起動するか確認します。うまく起動すれば終了です。うまくいかない場合には,最初からやり直します。

 ここでは今あるBIOSの複製を作る場合を示しましたが,要はBIOSアップデート作業において,BIOSの内容を書き換える前にチップを交換するだけです。予め書き込みたいBIOSファイルをフロッピーディスクに格納しておけば,別のマザーボードのBIOS複製も簡単にできるという訳です。


 私の場合には,ASUSのマザーボードP/I-P55SP4を使って,P/I-P55SP4とP/I-P55T2P4のBIOSの複製を作成しました。P/I-P55T2P4の複製BIOSは,予備品として置いておくだけでなくP55T2P4以外のマザーボードでの動作実験にも使用しました。なかなか面白い結果が得られています。

 BIOSの抜き差しやアップデート作業,複製品の作成はご自身の責任で実施してください。誰も保証できるものではありません。

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