芦屋川〜芦屋地獄谷〜A懸・B懸・万物相〜風吹岩〜黒五谷〜打越峠〜打越山〜住吉谷〜石切道〜六甲ケーブル山上駅 2007.11.18

     一年前から六甲の各所を歩き回っているが、芦屋地獄谷からA懸・B懸跡を通って風吹岩に至るルートはまだ歩いたことが無い。
     このルート、どのガイドブックを読んで見ても必ず経験者と同行せよと注意書きがあり、ずっと行くのを敬遠していたのだが、この先なかなか経験有る人と一緒に行くチャンスも無さそうなので、今日思い切って歩いて見ることにした。
     迷路のようなコースらしく現地で迷わないようにと西山谷に挑戦した時のように事前の情報収集をしっかりと行う。

     阪急芦屋川駅前はハイカーで大賑わいであった。ほとんどがバス待ちのようであった。ハイカーの間を擦り抜けて芦屋川沿いの道を北に向かう。

    今日は阪急芦屋川駅がスタート。
    バス待ちのハイカーや待ち合わせのハイカーで駅前は一杯。
    人の群れを擦り抜けて進む。
    今から向かう風吹岩、万物相をデジカメの望遠で眺める。


    いつもどおりこの橋を渡る。
    ここの分岐は左に進む。正面は鷹尾山。
    ここの分岐は真っ直ぐに進む。
    左直進:高座の滝、右折:鷹尾山、荒地山

     高座の滝までの道は、すでに何度も通った道。ブラブラと体をほぐしながら20分余り歩いて滝に着く。滝の傍のお堂の前のベンチで身支度を整える。

     滝の手前の橋を渡り、急な階段道を登る。登り詰めるとそこは3分岐の所。兵庫登山会が設置した案内板がある。


    高座の滝道を進む。
    滝の茶屋が見えて来た。真っ直ぐに店の前を通過する。
    少し行くと大谷茶屋。ここも通過。


    高座の滝に着く。ここで小休止、これからの地獄谷遡行に備える。
    写真左上隅は、藤木九三レリーフ。
    高座の滝横の階段道を登り詰めるとここに出る。
    中央稜は右の階段を登る。地獄谷はここを左に下る。

     この場所左手下部の土砂が堆積して出来た空き地が今日目指す地獄谷の出発点、左のガレた斜面を空き地へと下る。

     地獄谷入口空き地に降り立つと前方に土砂流出の検知ワイヤーが見える。そのワイヤーをくぐり抜けると正面左に登って行く道が見える。


    コース案内板。
    地獄谷に下る道。ガレ場なので注意して下る。
    土砂流出検知ワイヤーの下をくぐり抜ける。

     谷のその先を眺めて見る。谷の両岸は狭く中心の沢には大きな岩塊ばかりが見て取れる。幸いな事に連日の晴天の影響か流れる水がほとんど無い。

     この谷は元々が水量豊富な所ではないようだ。右手上部に、これまた岩だらけの巻き道が見えるが、沢の中の岩塊を直登していけそうだ。

     そんなことを思い描いている時、後方から賑やかな声が聞こえて来た。振り返って見ると、4人組のハイカーが後ろからやって来た。


    ワイヤーをくぐると正面左に登り道が見える。
    いきなり大きな岩塊が目に飛び込んでくる。
    連日の晴天で水はほとんど流れていない。

     先頭を行くハイカーが私の横を通り抜けながら、「A懸の方に行くにはこちらでいいんですか?」と尋ねる。「初めてですか」と尋ね返すと「そうだ」と答える。

     当方も「初めてだがこの方向で間違いない。小便滝の所から右の斜面に登る道があるからそちらに行けば良い」と事前に収集した情報を伝える。

     パーティーは、このような所は初めてのようで、巻き道を行けば良いのか岩を直登して行けば良いのか判断に困っていたようだが、岩の表面に着いた踏跡をみつけ直登可能と知るや、迷わずに元気よく岩を登って行った。

     私よりもずっと年齢も若く体力もありそうで周りの景色などじっくり鑑賞する気も無いらしくどんどんと進んで行く。当方も遅れはならぬとパーティーのしんがりを登って行く。

     一つの岩場を乗り越えると、またその先に次の岩場が現れる。岩場に立ち向かう都度、再訪のために一つ一つカメラに収めて行く。岩場の真中、左、あるいは右、どこを登ったのか、今、写真を見ても良く判らぬ所が何箇所かある。

     都度メモを取れば良かったのだが、ゆっくりしていると、前を行くハイカーが、後ろに続いて登ってきているはずの当方の姿が見えず、事故でも起こしたかと心配しては行けないと思い、メモを取る時間を惜しんでしまった。


    2段状の滝を通過。
    前を行くハイカー。
    ハイカーが写ると岩の大きさが良く判る。
    大きな岩の滝。
    この滝の右を登る。


    次から次と現れる岩塊の滝。全て直登越えが可能。
    こんな所もあった。
    一つ登って越える毎に高度を稼いで行く。

     4人組のハイカーだがそれぞれに体力差もあり歩き慣れていない初心者も居るようだ。時折こちらが追い付いてしまうが、写真を取っている間に離されてしまう。

     いくつ岩場の滝を越えたか記憶に留めぬ間に明るく開けた所に出たと思ったら、右手前方に小便滝が見え、その向こうに右の斜面に登る道が見えた。

     小便滝は、落ちる水も無く、小便滝の看板がここに無ければただの岩にしか見えず見逃してしまうだろう。滝の向こうの道を右に登る。


    ここは、正面の岩の右横を擦り抜ける。
    どこから取り付いたのか記憶に無い。
    西山谷遡行の時のようにメモを取るべきであった。
    前を行くハイカーに追い付いたり離されたり。


    この岩の上に乗り上げて進む。
    正面右が小便滝。今日は枯れていた。
    右の斜面へ登る道に取り付く。

     斜面を少し登ると4人組が立ち止まって思案している。真っ直ぐ行く道は、マーキングがあるが枯れた枝谷の沢登りのような道、左の道は、斜面を登る道。

     どちらに行けば良いのかと尋ねられたが当方も返事に困る。分岐道が至る所にある六甲の特徴がここでも現れている。地獄谷を抜けてすぐにこれでは、この先が心配だ。やはり経験者同行でないと駄目なのか。

     取り合えず踏跡を確認しながら明るく上に登る左の道へと進んで見た。少し登ると踏跡もしっかりとついており風化した荒れた山頂に出た。

     ここがどこなのか判らないが眺めが良い。暫し周囲の景色を楽しんだ後、先に進んで見る。


    B懸尾根、中央稜を望む
    左の鉄塔の下が風吹岩。

     道は更に上へ、向こうへと続くものだと思っていたら下降する道しか見当たらない。枝谷へと20メートルぐらい下るように見受けられる。

     この道しか進みようが無く、半信半疑ながらも取り合えずここを下って見る。下り降りた所で左に進路を取り、少し進むと、ネットで見たA懸垂岩の前に出てきた。道が間違っていなくてほっとする。

     ちょうどA懸垂岩を登って行くハイカーが一人居た。4人組のリーダーらしき人物が風吹岩への道を尋ねると、岩の上から指を差して、手前の奥のザレた道を進んで行けば良いと教えてくれる。


    A懸垂岩に出た。
    A懸垂岩。
    A懸垂岩手前のザレた道を進んで行く。


    A懸垂岩を振り返って望む。
    花崗岩が風化した岩稜を行く。
    歩いて来た道を振り返って見る。

     この後、特にルート取りに迷うような所も無く、花崗岩の風化したザレた岩場を、滑落に注意しながら進んで行く。

     登ったり、下ったり、なかなか変化に飛んだ楽しいB懸尾根の岩稜越えである。振り返って見るとA懸垂岩がだんだん遠くになっていく。

     前方を見ると白い岩肌が剥き出しのピラーロック、万物相が近づいてくる。この先、あそこへの道取りを間違えないようにと心する。


    こんな所を抜けて通る。
    A懸垂岩がだんだん遠くになる。
    万物相が近づいてきた。

     B懸尾根を登り詰めて、中央稜西側斜面の中腹に一旦下り、その後南に回りこむように進むと、道はまた岩場の登り道となり、登り詰めるとピラーロックに出た。

     ここから、踏み跡をトレースして向こう側、万物相へと進んで行く。万物相の奇怪な風景に暫し見とれる。

     西に東に岩場を巡って見る。ふと風吹岩方面を見ると、たくさんのハイカーがこちらを見ているような気がして思わず手を振ってしまう。


    万物相に着く。暫しその景観を楽しむ。
    しっかりとした踏み跡の馬の背のような所を向こうに進む。


    万物相を西の方に進んで見る。


    こちらは東方向の風景。

     奇怪な岩場の風景を楽しんだ後、岩場を下り、万物相北側の稜線へ抜ける道に進む。樹林の中の道を数分登ると中央稜の尾根道に合流した。風吹岩に向かう。

     風吹岩で小休止する。休憩している間に4人組ハイカーは六甲山頂目指して出発して行った。


    万物相北側の稜線へと抜ける道へ、一旦下り、抜け道に取り付く。
    風吹岩に着く。今登って来たルートを眺めつつ余韻に浸る。
    たくさんのハイカーが居るにも係わらず現れるイノシシ。人馴れしてしまっているようだ。

     風吹岩には何度も立ち寄っているが、今日初めてイノシシに遭遇した。流石に食べる物を与える人は誰もいなかったが、随分人馴れしたイノシシだ。

     この先、黒五谷から住吉谷に下り、今日の行程を終える予定であるが、現在時刻10時半前、12時前には終わってしまいそうな気がする。あっけない山行きだ。これでは、芦屋川駅隣のコンビニで購入した弁当も食べずに終わってしまいそうだ。

     そんな心配をしながら、次なる目的、黒五谷への分岐を目指す。

     黒五谷への分岐は、ゴルフ場手前にあった。しっかりとした道標もあった。黒五谷の道を下って行くが、ここの道は概して良い道だ。


    風吹岩からゴルフ場を目指して進む。
    黒五谷への道は、ゴルフ場入り口手前にあった。
    黒五谷を下る。
    谷道とはいうものの良く整備された広い歩き易い道だ。
    時間も余裕がありゆっくりと下って行く。

     良く整備されていて歩き易い道がずっと続く。林道程の広さは無いが人が歩くには十分な広さがある。今日は下りだが、登りで歩いても全然苦にならないような道だ。迷うような分岐も無い。

     

     この道もそう長くは無く暫くして住吉谷に抜けるT分岐に突き当たった。ここの道標を見て思った。打越峠から打越山に廻っても住吉谷に抜けることが出来る。ならば、時間も早いので打越山に行こうと思い立つ。

     打越峠への道は、こちらも歩き易い道であった。傾斜も緩やかで、あえぎあえぎ登るという感覚では無いのが嬉しい。


    堰堤を巻いて越える道もご覧のような良い道だ。
    打越峠方向(左)と住吉谷方向(右)へのT分岐にまで下って来た。
    予定を変更して打越峠方向に進む。
    峠に向かう道は緩やかに登る道。

     峠が近づくと話し声が聞こえて来た。案の定、峠に着いて見ると数人のハイカーが、峠の4辻の真中でおしゃべり中であった。

     一人場違いな雰囲気にさっさと行過ぎることにした。辻を右折し打越山頂上を目指す。

     打越山頂上は、峠からさほど遠い距離ではなかった。樹林の中で景色は望めないが、広い空き地で明るい。時折、強い風が吹き抜けるが休憩するには十分な場所だ。

     昼時にはまだ早いがここで昼食にする。コンビニで購入したミニ弁当を食べながら午後の行程を考える。

     ここで少し休憩しても住吉谷には12時過ぎに着く。やはりこのまま終わるのは残念だ。住吉谷を六甲山上へと登り返しても良いがそうするとちょっと時間が足らない。岡本や八幡谷に廻るのも一案だ、それとも今日はおとなしく帰宅するか、などなど。

     結論が出ぬまま頂上を出発、打越山を北西に下る。あーだこーだと思案しつつ下って行くと水平道の分岐に着いてしまった。


    打越峠に着いた。5〜6名のハイカーが休んでいた。
    打越山頂上へと向かう。
    打越山頂上に着く。樹林の中で景色は無いが、広い空き地なので明るい。
    打越山頂上を北西方向に下る。八幡谷方向と住吉谷方向のT分岐を住吉谷へと進む。

     分岐点で思案しかけたら、住吉谷方向から声がするので、振り返って見ると、2人組のハイカーが登ってきて水平道へと目の前を通り過ぎて行った。それを見て、彼らの後を付いて歩くのも面白くないなぁ〜と思い、素早く住吉谷へと下りだす。

     住吉谷に着くまでもまだ思案していた。開けた辺りから六甲山上を見渡した時、やはり今からでも六甲山上へと登って見たい衝動に駆られる。

     今下っているこの道の終点からは石切道が始まる。石切道で登れば2時間程掛かるが下山はどうする? 油コブシか紅葉谷か? 油コブシは先週歩いたばかり、有馬も昨日行ったばかり。なかなか良いルートが思いつかない。

     ならば歩いて降りずにケーブルを使うことにすればよい。石切道で登って六甲ケーブルで下る。これなら15時には六甲ケーブル下駅に着けるはずだ。ケーブルで下るとはちょっとずるをするような気もするがこの案しか無い。


    住吉谷に下る途中、開けた所から望む六甲山上。
    時間も早いので住吉谷から山上までもう一歩きしようと考える。


    住吉谷をこの橋で渡る。
    五助堰堤下流にあるハイキング道交差点に出てくる。
    向こうの石切道で六甲山上を目指すことにする。
    石切道を登って行く。
    取り付きから暫くは石でゴロゴロした悪路が続く。

     住吉谷に下り着くと、迷う事無く石切道を登り出す。ここの取り付きは石がゴロゴロしていて歩き難い。元気を出して登って行く。 

     石切道は、妻と一度歩いた道、ルートも雰囲気も良く判っているので迷わずどんどん登って行く。今日は一人なので目一杯頑張って見ることにする。

     汗が吹き出しシャツを脱ぐ。肌着のTシャツ一枚になり登る。見晴らしの良い展望休憩所には、昼食中の先客ハイカーが居たので邪魔をしても悪いと、立ち止まらずに先を急ぐ。

     石切道の中で、唯一の水平道の区間に来ると、右手方向に見える六甲の山並みの紅葉が綺麗で思わず足を止めて見とれてしまう。


    悪路から林道に出る。
    林道から山道に。
    途中開けた所にある展望休憩所。


    石切道で水平な道が続く区間が一箇所あるがそこから望む六甲山上。
    紅葉が綺麗だ。

     石切道はこの水平な道からまだ随分と登って行かねばならない。凌雲台まで1キロと示した道標が次なる目標だ。

     今日は昼頃から時折強い風が吹くようになった。目標の道標を過ぎた頃、突風のような強い風の余りの寒さに、脱いでいたシャツを慌てて着込む。

     ここら辺り、後半部分になってしんどさが増して来た。前半部分を頑張り過ぎたようで次の一歩が重くなる。なんとか、ガーデンテラス手前の縦走路出合いに辿り着く。

     時計を見ると13時20分、石切道の取り付きから1時間15分で登って来たことになる。2時間を想定していただけに随分と早く登ってこれたものだ。 

     ここからは、ゴルフ場を抜けてケーブル山上駅に向かうことにする。みよし観音を過ぎ、サンライズドライブウェー入り口交差点角の自動販売機の近くのベンチで疲れた体を休める。

     持参したみかんとどら焼きがうまい。これにより一気に体力が回復した感じがする。油コブシの下山口に来た時、予想した時間よりも早かったので下ってみようかとも思ったが、思い直してケーブル駅に向かう。

     
    石切道終点、ガーデンテラス下部の縦走路との出合いに着く。
    ここから左にゴルフ場を目指す。
    ゴルフ場クラブハウス前から六甲ケーブル山上駅に着く。
    紅葉シーズンだけに観光客で一杯の山上駅。

     14時発の臨時便が出るようでさほど待たずしてケーブルに乗れそうだ。トイレを済まし、紅葉シーズンで賑わう観光客に混じりケーブルカーで下る。

     ケーブル下駅に着くとうまい具合にJR六甲行きのバスが発車する所であった。バスに飛び乗り帰路に着く。


    今日はケーブルカーで下りの歩きをパスする。
    ケーブル下駅からバスに乗り帰路に着く。



     各地点の到着時刻、所要時間は次のとおり。

    阪急芦屋川駅 8時33分出発
     〜(23分)〜高座の滝 8時56分着、9時1分発(5分休)
     〜(22分)〜小便滝 9時23分通過
     〜(19分)〜A懸垂岩 9時42分通過
     〜(20分)〜万物相 10時2分通過
     〜(10分)〜風吹岩 10時12分着、10時21分発(9分休)
     〜(17分)〜黒五谷分岐(ゴルフ場手前) 10時38分通過
     〜(30分)〜打越峠 11時8分通過
     〜(10分)〜打越山 11時18分着、11時41分発(23分休)
     〜(25分)〜石切道取り付き 12時6分通過
     〜(74分)〜縦走路出合い 13時20分通過
     〜(32分)〜六甲ケーブル山上駅 13時52分着


     万歩計による歩数:22,500歩
     歩いた距離:約13.0km

    今日歩いたコース。