どこの山に行くか決めていなかったので、自宅近くでまだ未踏の所は無いかと考えて見る。 そういえば菊水ルンゼがまだ未踏だ。菊水山頂上から西方向に延びる尾根の道もまだ歩いたことが無い。 ということで、菊水ルンゼを登り、尾根道を下って見ようと、神戸電鉄鈴蘭台駅から石井ダム湖を目指す。 菊水ルンゼの登山口は、石井ダムにより水没したらしいが、 ダム湖に掛かる橋の北側袂からトラバース道を辿れば登山口に行けるらしい。袂のトラバース道取り付きは、 前回の山行きで調べてある。 神戸電鉄車庫を越えて、ダム湖に通ずる道を下って行く。ダム湖に掛かる橋の手前、左側に、 ルンゼに至る道の取り付きがある。 取り付き近くに来て、入り口に通せんぼのようにロープが渡してあるのに気付く。嫌な予感がする。 道が危険なために行くなということか。 危険な道であっても自己責任で行けば良かろうと、ロープを跨いで越えて先に進む。 数十メートル進んで、ロープの意味が判った。前回の山行きで確かめたこの道だが、今やその先で水没しているのである。 石井ダムが満々と水を貯めているようで、ルンゼに至るトラバース道が水没してしまったようだ。 他の道はないかと周囲を良く観察してみるが無理なようだ。 今日初めての道では、どうにも先が判らず、藪漕ぎでルート開拓するのも無謀というもの。ルンゼ登攀は断念する。
さてどうしたものか。引き返して鈴蘭台口から菊水山に登るか、それとも石井ダムを越えて全山縦走路を登るか。 引き返すのも癪なので、このままダム湖の周遊路をダムに向かって歩くことにする。 途中、右手に妙号岩を仰ぎつつダムに向かう。 ダムの左岸上部の土手の上を仰ぎ見る。あの上に道があるらしい。そこになんとかして今日は行ってみたい。 ダムの堤体上部から登るルートが無いか目を凝らして観察するが、道らしいものは見当たらない。やはり、縦走路のどこかから登って行くか、頂上から下ってくるしかないようだ。
ダムの階段を降りて、向う側、下流側に下る。全山縦走路にで出て、縦走路を東に進む。石井ダムの手前、烏原川に掛かる橋を渡る。山道に取り付いてすぐ、神戸電鉄のトンネル入り口上部に向けて道が右手に折れ曲がる所を真っ直ぐに谷に取り付いて見る。 ここは以前に、「石井ダム工事中により妙号岩方面には行けません」との看板が立っていた所だ。以前からこの看板を見て、この先に道があるのだろうか、と疑問に思っていたのだが、それを確かめるためにも、ここを登って見ることにした。 谷の涸れた沢@を登って行く。少し登って行くと、右手の山腹へと、踏み跡道があり、谷を離れそちらに進んで見る。 空き缶やビール缶が捨てられており、以前に歩かれていることは間違いないようだが、少し先で、笹が生い茂り行く手を阻む。どうにもこれ以上進めそうにないので、来た道を谷に戻る。 道間違いかも知れないと諦めて縦走路に戻ろうかと思ったが、谷を登って行けばいずれは尾根にでるはず、藪漕ぎ覚悟で登って行くことにする。誰も歩いていないのか踏み跡はほとんど見当たらないが、なぜかゴミだけが所どころに現れる。谷筋を外さないように、沢の中を忠実にトレースして登る。
谷の源頭部らしき所にまで登ると、前方斜面が尾根筋のように見える。潅木を頼りに斜面を乗り上げると、左右に道が走る小さな枝尾根Aに出た。方向をコンパスで確かめると道は南北に走っている。南の方はすぐ先で行き止まりのようだ。北を見ると踏み跡明確な道が左斜面の山腹へとスッと伸びている。北に進んで見る。山腹道は背高い笹薮が切り開かれた道だ。色の異なるテープが現れた。テープを頼りに進むと先で行き止まりとなった。さてどうしたものか。 左手側の斜面を見ると獣道のような細い踏み跡が続いているB。方向を示すテープが見当たらない。テープが無いのは、テープを取り付ける必要も無い程に明瞭なルートに居るということだろうと想像し、踏み跡に進む。少し先で斜面にぶつかり、斜面を登ると尾根の道Cに出た。 振り返って見ると、出てきた所にはペンキの矢印やテープがついていた。どうやら尾根道を下ってきた際の下山ルートの取り付きを示しているようだ。ということは、今、苦労して登って来た道は、間違いなく一本のハイキング道だったんだと確信するが、果たして下りで歩いた場合に、あの谷筋にうまく辿り着けるか疑問だ。 尾根道の南側には、ロープで通せんぼしてあり、それをくぐって南に少し下ると、そこは、先程ダム湖の周遊路から見上げたダム左岸の土手の頂部であった。予期せずして、登って見たい所に出てきたことに嬉しくなる。
明確な踏み跡のある尾根道を北に進む。少し行くと、緩く登り、尾根を右に外すように、道は右手に進み、一本の枝尾根Dに乗り上げた。ここを左に進むと山腹の道となり、谷に下って行く道に合流した。合流点Eを左に折れると、そこからは、ロープ場の急登な道の始まりであった。 頂上から南西に緩くくだる尾根に突き上げる急斜面を登る道だ。岩塊混じりの道で、安全のためにずっとロープが渡してある。急登な道を登り切る少し手前に左に下る分岐道Fがあった。ルンゼに下る道なんだろうかと、立ち止まって様子を見るが、そうでもなさそうだ。 分岐をやり過ごし少し登ると平坦な道となる。ずっと進んで行くと、菊水山頂上の南西角に登り着き、無線鉄塔を右に回りこむように進むと、菊水山石碑の前に出た。 頂上の空ベンチに腰掛けて昼食を取る。休憩の後、登り途中で見た谷に下る道を歩いて見るべく、来た道を引き返すことにする。
どこかにルンゼから登って来た時に出てくる道があるはずと、確かめながら下るが、見つけることは出来なかった。南西に緩く下る尾根が急斜面の下りに変わり、左に下る道のあった分岐まで戻って来た時、その分岐道を少し下って見ることにした。ひょっとしてルンゼに出るかも知れないとの淡い期待で下るが、どうやらこの下り道は、ルンゼの南側の尾根道Gのようだ。右手側を見ると、ルンゼの右岸斜面を木々の間から透かし見ることが出来た。以前はここを下り、烏原川対岸にある妙号岩に行けたのいだろうが、いまや、このまま下るとダム湖に没してしまう。途中で引き返すことにする。 分岐点に戻り右に、ロープ場の急斜面を下る。急登道を下り、南西に延びるダム左岸の尾根の道には戻らず、真っ直ぐに谷に下る道に進んで行く。明確な一本道が谷の沢沿いに続きH、ずっと下って行くと、縦走路の菊水山登山口前の休憩所の横Iに降りて来た。
縦走路を西に下り石井ダム前を通過、ここでダムを上り、鈴蘭台に戻ろうかと思ったが、時間もあることだし、西に鵯越に進むことにする。 旧菊水山駅前を通過、貯水場を過ぎて、右に斜面を登り、烏原川から離れ、ポンプ場前を通過。舗装路から右に鵯越駅へ通じる道の分岐点に来た時、ふとイヤガ谷東尾根を歩いて見ようと思いつく。 分岐点から山道に取り付き、送電線巡視路を経由してイヤガ谷東尾根に進む。尾根に登る樹林の中の道から切り開かれて空地に出た所で、小休止を取る。小休止の後、イヤガ谷東尾根の道を進む。この尾根道は、平坦で良く整備された気持ち良い道だ。山中を歩いてばかりいるのも面白く無いので、君影ロックガーデンに立ち寄って見る。ロックガーデンからの帰り道は、前回とは異なるルートで進む。尾根道が終盤に差し掛かる頃、地形図にある三角点が道の真ん中にポツンとあった。
三角点を過ぎると、鈴蘭台第五団地はもうすぐだ。団地の取り付きから車道を鈴蘭台駅へと戻る。
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