鈴鹿山系 御在所岳 2010.11.3

     今日は、秋の紅葉と登山を一度に楽しもうと、三重の御在所岳に登ることにした。御在所岳は、ロープウェーもあり人気 の山だけに駐車場確保の心配と、午前中に頂上に立ちたいと思って神戸の自宅を6時過ぎに出発する。

     まだ早い時間といえども名神高速道路は既に車も多く思うように走れない。草津JCTから新名神に入ると車も少なくな りスムーズに走れ、四日市ICをなんとか8時前に降りる事が出来る。

     国道477号線を西に一路湯の山温泉目指して進む。途中菰野の道の駅に立ち寄りトイレを拝借。その先、鈴鹿スカイ ラインへの分岐を真っ直ぐに577号線に進む。

     近鉄の湯の山温泉駅前を通過、山の中へと道は続く。道なりに数分走ると湯の山温泉街。三交湯の山温泉バス停まで来る と登山者の姿を見かけるようになる。手元の登山ガイドブックでは、このバス停周辺に車を止めるように書かれているが、 思わしい駐車場が見当たらない。

       御在所岳に登るには、表登山道、裏登山道、中登山道、一ノ谷登山道といくつもコースがあるが、今日は、奇岩・珍岩を 見ることが出来て、また眺望にも優れた尾根を辿る中登山道を登って下山はロープウェーの予定。

     中登山道の登山口へ行くには、鈴鹿スカイラインへ車を廻すのが近道だが、ロープウェーの下山を考えるとロープ ウェー乗り場の近くで車を止めておきたい。もう少し先、バス停からロープウェー乗り場まで車を走らせてみる。

     ロープウェー乗り場には大きな駐車場があり、幸いなことに、まだ十分に空きがあった。ここに車を止め、登山準備の後、 ロープウェーの駅舎の裏手へと進み、登山口を目指す。少し先で右への裏登山道の分岐をやり過ごし、温泉街からのアスフ ァルト道に出て、中登山道の登山口へと谷あいの道を登って行く。

     六甲全縦の塩尾寺から宝塚までの急坂ほどではないが、結構傾斜のあるアスファルト道。先の事を考えてゆっくりと歩いて いくのだが体が熱くなり汗が出る。頭上でヘリの音がする。観光地を撮影に来た報道関係のヘリだろうと気にも留めずに進む。

     鈴鹿スカイライン手前で山道に入り、ほどなくしてスカイラインを跨いで登山口に着く。ここで入山届を出して、中登山道 に取りつく。

    ロープウェー湯の山温泉駅から望む御在所岳。山上は紅葉している。登山道はさぞかし険しそうな気がする。 駅舎の奥へと進んでゆく。この先の道を左下に下って行く。 温泉街からの谷あいの道を、登山口目指して登って行く。


    鈴鹿スカイラインに交わる少し手前のカーブ地点。ここから左の山道に入る。 中道登山口に着いた。右手看板の前でハイカーが書いているのは入山届。ここで入山届を出しておく。次から次とハイカーがやってくる。 登山口からはいきなり急登な登りとなる。


     登り出しから急登な道が続くが、歩きづらいことはない。御在所岳は、六甲山と同じく花崗岩の山で、登山道の様相は、 いつも歩く六甲に良く似ている。岩場やザレた箇所を通過する度に芦屋のロックガーデンや荒地山の岩場を思い出す。

     歩き始めは、谷あいから尾根に向かう眺望の無い道だが、少し我慢して登って行くと尾根に乗り上げる。まだ林の中であるが 所々、木々の切れ間から眺望がよくなる。左手上方を見上げると、頂上へと延びるロープウェー、それを支える白鉄塔、 紅葉に包まれた御在所岳山頂を望むことが出来る。

     頭上にロープウェーを仰ぎつつ、ロープウェーの下を通り抜けて行く。暫く行くと大きな岩場に出た。おばれ岩だ。 大きな板状の岩が2枚、負いかぶさるように立っている。あまりにも大きく、カメラに岩全体を納めることが出来ない。

     尾根に突き出した岩場だけに眺望もまた素晴らしい。西北に鎌ケ岳、東に伊勢平野を望む。おばれ岩を出発し、幾度かの 岩場を通過して行く。大小異なる規模の岩場通過であるが、尾根に突き出た岩場の道だけに、いずれの場所からも眺望は 素晴らしい。何よりもお天気が良いのが一番だ。

    左手方向に御在所岳頂上が見えてくる。白い鉄塔はロープウェーの支柱。この支柱は遠くの街中からも良く見える。御在所ロープウェーのシンボル?
    3合目。あと95分とある。
    3合目は裏道分岐点でもある。真っ直ぐに頂上を目指す。


    山腹を尾根に向けて登って行く。
    大きな岩をすり抜けて通る。
    おばれ岩に到着。
    大きすぎてカメラに入らぬ。


    少し下がって見るとこんな感じ。
    大きな板状の岩が2枚重なっている。
    おばれ岩から鎌ケ岳を望む。
    おばれ岩から伊勢平野を見通す。


     次に現れた珍岩は、地蔵岩。2つの岩の上に四角い岩が乗っかり、遠方からみれば地蔵の姿に見えるらしい。 それにしても、自然のなせる技に驚嘆するばかり。

     相変わらずの岩場の道を登って行く。大きな岩に出くわすごとに思わず歓声が上がってしまう。なかなかに変化に富む楽しい 登山道であるが、急登な岩場の道だけに足元の確認は怠れない。

     そうこうして進んで行くと、大きく切れ落ちたキレットに出くわした。ここは慎重に下る。キレットを下ってからはすぐに 登り返しとなる。ここから先、暫く尾根道を登って行くが、大きな岩場に乗り上げた所で、先行登山者の渋滞に出くわす。

     既に頂上からこの中道を下ってくる登山者とこの先で生憎すれ違いとなったが、人一人しか通れぬ岩場の崖道だけに渋滞が 起こっているらしい。我々の後にも次から次と登山者が押し寄せ渋滞が途切れることはない。

     下ってくる方は岩場通過に随分と待たされていたようで、交互通行に協力せよとブーイングが出ている様子。私の前で、 列を切り、10人ずつ交互に通行することにして、まずは10人下ってくる登山者を通す。崖を通過すると、尾根から山腹の 道となり、大きな一枚岩の辺りから、一気に上に登る道となる。

    登るにつれ頂上が近くなる。
    紅葉が綺麗に見えてくる。
    この奇岩は?
    地蔵岩だ。


    地蔵岩を見下ろす。向こうの彼方は伊勢湾と伊勢平野。
    少し角度を変えて眺める。
    自然の造形は摩訶不思議だ。


    キレットを上から眺める。左に鎖があり、降りるのはそんなに難しくはなさそうだ。 キレットを下って少し登り返した所から眺めて見たキレットの様子。
    7合目に到着。ここで小休止。


     頂上に近づくと道は先日の雨で濡れており、滑らないよう慎重に足を運ぶ。急登なザレた道を登って行く。 頭上で人の話し声が聞こえてくると頂上は近い。ザレた道を登り切り、最後に数段の梯子を登って山上公園に飛び出す。

     ここ登山口から左方向、少し先に岩場の富士見台があったが、観光客も多く立ち寄らずに右手公園中央へと進んだ。 後で判ったことだが御在所岳からの眺めは富士見台が一番であり、ぜひ立ち寄っておくべきであったと反省。

     公園からロープウェー乗り場へと進み、駅舎を抜けて、カモシカセンターの方へと進む。一等三角点のある 御在所岳頂上へと遊歩道をぶらぶらと歩いて行く。

    下から見えていた頂上近くの大きな岩場。この後、少し登ってここの岩場を右に巻いて行く。 山上公園ロープウェー乗り場の駅舎を抜けた所から三角点のある御在所岳頂上を見る。ここからまだ少しある。 散策路をぶらぶらと歩いて頂上に着く。生憎空模様が悪い。

     中道を登り始めた頃はお天気も良かったのだが、キレットを過ぎた頃から空模様が悪くなってきていた。夏のように 低い雲ではなく高い雲なので雨の心配はないが、陽が雲に隠れると肌寒くなるとともに紅葉の景色ももう一つとなる。

     一等三角点のある頂上にて、昼食休憩とする。おにぎりを食べているとすこしポツリポツリときたが、雲が流れると それも止み、時折、雲間から陽が射すと眺めも良くなる。

     食事の後、琵琶湖が見えるという望湖台へと向う。岩場の上から琵琶湖方面を眺めて見るも、雨乞岳が大きく 聳え、その陰に隠れて琵琶湖は良く見えぬ。

     頂上からは、スキー場の中の道をロープウエー乗り場へと下って行く。乗り場の駅舎に入ってびっくり。 乗車待ちの行列が出来ていた。乗車待ち中にふと窓の外を眺めて見ると一台のヘリが表道方向の上空を旋回している。


    頂上は、滋賀県と三重県の県境が走る。
    左に見える社は御嶽神社。この辺りの紅葉は既に終わりに近い。


    こちらは、頂上のさらに先にある琵琶湖が見えるという望湖台。 望湖台まで足をのばし、望湖台から頂上を振り返って見る。


    御在所岳の北にある国見岳。日が射すと紅葉がもっと綺麗なのだが。
    その向こうに鈴鹿の山並みが連なる。


     数度旋回を繰り返している所を見ると、どうやら捜索をしているような感じだ。ロープウェーの係りの人の話では、 「ヘリがあそこに飛んでくるのは遭難者が出た時だ。それ以外の時にやってくることはない。きっと誰かを探している のでしょう」ということであった。

     20分程の待ち時間でゴンドラに乗れる。ゴンドラは10人乗りで、一分おきに、定員だけ乗せて発車するので、 視界は良く、ロープウェーからの眺望を十分に楽しむ事が出来る。

     中道は尾根の道だけにロープウェーからも登山者の姿が良く見える。高度を順に下げ、キレットに近づいた所で、 キレットの様子を良く眺めて見る。まだまだ登下山するハイカーで賑わっているようだ。それにしても、こうして 遠くから眺めて見ると随分と危険な所に見える。よくもあんな所を通過したものだと感心する。

    ロープウェー駅舎の中から温泉街を見下ろす。 遭難者を救助中のヘリコプター、三重県警の「みえ」号。 御在所岳山腹の紅葉をロープウェーの中から観賞する。


    こちらの岩場の上にも登山者が立つ。
    降りてくるに従って紅葉も切れてくる。
    左手下にキレットが見えてきた。


    キレットをズームアップして見る。なんとも凄い所を歩いていたものだと感心する。
    後少しで終わりだ。
    温泉駅に下りついて無事に今日の登山を終える。


     ロープウェーは山上公園駅を出発して12分で湯の山温泉駅に下りついた。もう少しで到着という時、山肌に一頭の カモシカが現れる。登山道で遭遇する人もあるというが、最後にその姿を見ることが出来たのはラッキーという他ない。

     無事に下りつき、車で来た道を戻る。対向車線は、駐車場入場待ちの車の列が延々と続いている。どこまで続いてい るのかと興味津々で走って行くと、なんと鈴鹿スカイラインの分岐点まで列が続いていた。もうこの辺りにいる人は 時間的にロープウェーに乗ることは無理だろうと思われるが、知らぬは仏で、みんなじっと待っている。

     四日市ICから来たルートで戻る。新名神から名神高速に入ると渋滞に出くわしたが、19時前に自宅に無事到着。 鈴鹿山系初めての登山であったが、なかなかに楽しい登山であった。


     翌日ネットで調べて見たら、やはり、あのヘリは遭難者救助であった。さらに、登山口に向かう途中で 聞いたヘリの爆音も遭難救助であったらしい。三重県警によると、ここ御在所岳では、たくさんの遭難事故が起こって いるとのこと。

      鈴鹿山脈で滑落事故相次ぐ 計3件
      2010年11月3日 21時38分

       三重県北部の鈴鹿山系で2日午後から3日にかけ、登山者の滑落事故が3件相次いだ。計3人が救助され、 2人は骨折の重傷。

       県警四日市西署によると、2日午後3時15分ごろ、菰野町の釈迦ケ岳(1、092メートル)付近で、 同町の会社員男性(48)が足を踏み外して30メートル滑落。左足の打撲を負い、3日午前8時10分に 同署員に救出された。

       3日午後零時15分ごろには、同町の御在所岳(1、212メートル)の一ノ谷新道で、名古屋市中川区 の男性(74)が50メートル滑落し、頸椎を骨折。同日午後1時5分ごろには、四日市市の水沢峠 (866メートル)付近を下っていた津市の無職男性(63)が登山道から10メートル落下し、骨盤を骨折した。

      (中日新聞)


     各地点の到着時刻、所要時間は次のとおり。

    御在所ロープウェー湯ノ山温泉駅 8時35分出発
     〜(40分)〜中道登山口 9時15分通過
     〜(40分)〜おばれ岩 9時55分通過
     〜(23分)〜地蔵岩 10時18分通過
     〜(18分)〜キレット 10時36分通過
     〜(61分)〜山上公園中道登山口 11時37分通過
     〜(42分)〜御在所岳頂上 12時19分着、12時39分発(20分休)
     〜(41分)〜御在所ロープウェー山上公園駅 13時20分着

     歩いた距離:約4.3km