「紙の本は消えるか」 1998.2.2

     春秋社編集部編になる「ゆらゆら、インターネット時代」という本の中に「紙の本は消えるか」の一節がある。今はやりのデジタル電子化がいかに進もうがなかなか紙の本は消えないという。

     CD−ROM辞書や図鑑などは一応成功を納めたといえるが,小説などの分野ではまだまだ文庫本の携帯性,速度性にはとてもかなわないという。

     また,事実を記録するという機能から見た時,本というのは数千年の昔からその機能を果たしている,インターネットでは,古い情報はどんどんなくなり,常に新しいものに書き変わる,二十世紀にインターネットという技術があったと後世に伝えるのは,皮肉にも本なのかも知れない,というのだ。なるほどと思ってしまう記述である。

     約10年程前にパソコン通信ホスト局を開局した。最初の頃は口コミで会員を集めていたが思うように集まらず,当時のパソコン雑誌に開局の案内を掲載してもらった。PC−VANやNIFTYの掲示板にも開局案内を掲載した。それ以降,順調に会員が増えることになるのだが一番効果が合ったのはやはり雑誌であった。

     ASCIIの「ネットワーカー」という雑誌が発売されると,決まって発売日以降の一週間以内にたくさんのゲストアクセスがあり,会員登録が一気に増加した。これが発売日毎に繰り返された。電波新聞社発行の「ワープロパソコン通信BBS電話帳」についても同様,これの発売日を待っていたかのようにゲストアクセスがあった。

     PC−VANやNIFTYなどの掲示板を見てアクセスしてきたという人は私の知る限りわずか数名。大手のパソコン通信ホスト局での掲示板書き込みは,その当時でも1日に百や二百はくだらなく,幾度となく掲載した開局案内は翌日には過去のデータとして次の書き込みに埋もれてしまい誰の目にも留まらなくなっていた。

     インターネットがパソコン通信にとって代わり今や花盛りではあるが,こちらにしても,さてどのプロバイダに加入しょうか,なんて時には活字で印刷された紙の情報に頼ることになる。

     まだまだ,印刷媒体マスメディアの力は大きい。