若狭を訪ねる 1998.2.18

     一昨日,昨日の二日間の行程で若狭地方を回ってきた。

     公用とはいえ,都会を離れて地方に赴くとなると何となく心がうきうきとする。心配した天気も快晴に恵まれ気温も高く,今の季節に若狭を訪れる者に取っては何よりも有り難い。

     大阪駅にて,新潟行き「雷鳥」に乗り込む。滋賀県北部に入ると山陰にちらほらと残雪を見る程度で心配した雪は全く無い。敦賀で下車。ここにも雪など全く見あたらない。有り難いことではあるが,反面ちょっぴり残念。

     タクシーにて敦賀半島を回り美浜に向かう。海水浴シーズンには相当混雑するこの地も今は閑散としている。この時期荒れ狂う日本海は,快晴に恵まれ波も静か,今が真冬の最盛期とはとても感じられない。

     所用を済ませ,この日は美浜町早瀬の民宿旅館で一泊。早瀬からは,もう少し足を延ばせばすぐそこはレインボーライン,三方五湖が美しい。今回は公用でもあり,訪ねる時間的余裕などないが,ここまで来て残念だ。

     宿の食事は蟹すきと鯛などの刺身。新鮮な蟹と鯛の引き締まった切り身を味わいながら思わず酌も進む。

     一夜明けると,天候は昨日と打って変わり荒れ模様,まるで台風前夜のようだ。宿の建屋がガタガタと音を立てる,窓外を眺めて見れば強風と横殴りの大雨,今から舞鶴に向かわねばならぬというのに,気持ちが萎えてしまう。

     嵐の中を,車で美浜駅に向かい急行に乗り込む。列車のシートに腰掛け,窓外に流れる若狭の田園風景を暫し楽しむ。上中,小浜,本郷,大飯,高浜と列車が進むに連れて,空模様も少し持ち直してくる。遠方に見える若狭湾は,昨日の穏やかな姿が嘘のように荒れている。

     東舞鶴に近づいた事を知らせる列車アナウンスに促され降車の身支度を整える。今日の仕事先は,ここからもう一駅先の西舞鶴。既にホームに停車していた乗り換え列車に乗り継ぎ先を急ぐ。

     西舞鶴での所用を済ませ,夕刻綾部から特急「はしだて5号」に乗り換え京都回りで帰阪した。

     わずか2日間のそれも公用の旅ではあったが,しばし日常の世界を離れ,海の幸に舌鼓を打ち,またゆらゆらと列車に身を委ねていた自分がとても幸せに思える。