古いウィルスに気をつけろ 2003.3.31

     仕事や趣味でパソコンをずっといじくっているとウィルスに感染することが間々ある。今から10年も前、MS-DOS全盛の時代に既にウィルスにやられた経験がある。この時のウィルスは、自分が初めて遭遇したもので、記念として今でも大事にFDに保存してある。そんなことをしていて大丈夫かというと、このFDが5インチディスケットで、今のパソコンシステムでは、コピーすることも、オープンすることも出来ない。凍結状態で保存されたウィルスといえる。

     人間の体もこれと同様に、ある種のウィルスを体内にずっと保存しているらしい。正確には、人体が積極的に保存した訳ではないが、人体に感染後、一度活発に活動した後、人体の免疫活動により死に絶えたかに見えたウィルスが密かに体内に潜んでいるというのである。それも神経細胞という人間にとって大事なものに取り付いているらしい。

     さて、そのウィルスとは、水痘(水疱瘡)ウィルスである。水疱瘡は、誰もが、小さな時に患った経験があると思う。体中の至る所に水ぶくれができ、夏場に罹ろうものならつらい思いをした経験があろう。この水疱瘡も暫くすれば回復し、一度罹れば免疫機能により二度と罹らぬ。この原因であるウィルスは死に絶えることなく神経細胞に取り付いてその人と一生を共にするという。このウィルス、じっとしているだけなら良いが、宿主がストレスその他の要因で弱ったりすると、時として反乱・逆襲するのである。神経細胞に取り付いているだけにまず神経痛を起こす。その後、神経に沿って体表面に達し、赤斑、水脹れを起こす。この病気を「帯状疱疹」(単にヘルペスと呼ぶこともある)という。詳細については、インターネットで「帯状疱疹」で検索して欲しい。

     実は、この帯状疱疹を患ってしまった。1ヶ月を過ぎた今も、まだ肩から胸にかけての赤斑が薄くなったとはいえ完全には消えずに、しびれも残る。当初、首から左肩にかけて痛みが起こり、肩凝りか、寝違えたかと軽く考えたが、痛みが取れず、整形外科にお世話になった。まだ、皮膚に赤斑や水脹れの症状も出ておらず、痛みの原因が特定できない。首の周りをレントゲンで見ても異常は無い。暫く様子を見るしかないと、湿布薬と痛み止めを処方してくれた。その2日後、湿布を貼ったあたりから赤斑や水脹れが出だした。てっきり、湿布かぶれでも起こしたかと、痛み止めだけ飲んでいたが、症状が一向に改善せず、その2〜3日後に医師に見せた。医師は、一目見るなり、ヘルペス(「帯状疱疹」)と診断、抗ウィルス剤を処方するとともに、このウィルスの由来を説明してくれた。

     この病、赤斑や水脹れは大した事ないが、神経細胞から発症してくるだけに(神経がやられて)神経痛となる。これがなかなか治まらない。またこれといった治療法もない。痛み止めを飲んで、自然治癒を待つのみというから始末が悪い。ピリピリとした痛みだけでなく全体に鈍痛もあり何もする気が起きない。発病から1ヶ月を過ぎ、どうにか気力を取り戻せる状態になったが、まだまだすっきりしない。例え痛みが取れたとしても、このウィルスは、死に絶えることなく、まだ体に取り付いているという。幸い、免疫機能のおかげで再発は免れるようであるが。

     この病気、誰もが発病の可能性を秘めている。私に続く、第2、第3の患者にならぬよう十分注意して、健康な毎日を送って欲しい。