マザーボード遍歴 その1 2003.4.20

     PCの自作は95年秋、Windows95が発売された頃から始めた。かれこれ8年になる。この間の技術革新は激しく、いろんな技術が登場するかたわら消えていった技術もある。
     8年もやっていると、さぞかし色んなパーツを手にしたかのように思われるが、どっこい根がシブチンなものだからそんなにたくさんのパーツを手にしたわけではない。
     PC自作の要であるCPU、メモリ、マザーは、特に技術革新の移り変わりが激しい分野。そのためか、シブチンな私でも、結構な数のマザーを手に入れ、また手放している。ちょっと振り返ってみた。手に入れた順にあげてみると次のとおり。

    (1)富士通 FMV466D3

     このPCは、95年の2月購入。CPUはインテル486DX2/66MHzであった。このPCをマザーの一つに挙げるのは違反かもしれないが、この当時の富士通のDOS/V機なんて、ケースだけが専用で中味は自作派の作るものとなんら変わるとこがなかった。あえて、マザーの一つに挙げておく。エイサーのOEMで、ジャンパー設定を変更すると、起動時にACERのロゴを表示した。このマザーは、PC-9801RXのケースに組み込んだ。今も健在である。

    (2)ASUS P/I-P55SP4

     95年の12月15日に初めての自作PCとして購入(29,800円)。この当時、メジャーなインテルのチップセット430FXを使ったマザーではなく、あえてSiSの5511チップを搭載したこのマザーを購入した。理由は単純、値段が2千円程安かったから。これが、実は命取り。チップの処理速度の遅さにその後嫌気がさす。ボード上のヒューズも飛ばした。なかなかに思い出深いボードの一つ。Pentium133MHz(58,000円もした)、#9のMotion771ビデオカード(45,000円もした)、ATケース(9,800円)を一緒に購入した。これらのパーツ一式は、最初の記念すべきパーツとして、今も大事に保存している。というより中古品としては、もう値がつかず、持っているしかないのが実情。

    (3)GIGABYTE GA-586HX

     96年6月21日にインテルの最新チップ430HXを搭載したこのマザーを購入。19,999円と当時としては、なかなかに安かった記憶がある。ギガバイトというメーカーの安心感と価格に引かれ、それまでのSiSチップの遅さに我慢がならず、ゲットした。
     Pentium133MHzで使用していたが、この頃以降、MMX技術を搭載したCPUが巷を賑わすようになった。このマザーは、MMX非対応であり今後の拡張性が期待できない。MMX対応の下駄も登場していたが、やはりここは見切り時。友人に売却した。

    (4)RISE R528WP

     96年11月21日に秋葉原のA-Masterで購入した。それまでのGA-586HXと同じ430HXのチップセットを搭載したものだが、2次キャシュに512KPB-SRAMを搭載していたこと、MMX対応であったこと、何よりも値段が10,000円と超破格だったものだから、一目見るなり購入。
     値段が安いからという訳でもないが、ちょっと癖があった。PCIスロットが3本しかない、PCIスロットとISAスロットの間にI/OコネクタがありIDEコネクタの位置もちょっと変な所(GA-586HXも変な所にあった)にある、という変わり種であった。ショップもコネクタの位置が不人気ですと認めていた。
     癖があるものの性能的には十分で今でも健在。なかなかに手放せないマザーの一つ。

    (5)ASUS P/I-P55T2P4C

     97年3月30日三宮のドスパラで購入。430HXを搭載したMMX対応マザー。ソケット7対応マザーの名機中の名機といわれたマザーだ。この頃、CPUはPentium133に代わり、AMDのK6-200MHzを手に入れメインマシンとして活用していた。このマザーは、75MHz、83MHzのクロックが供給でき、オーバークロッカーにも人気があった。K6-200を83MHz×3の249MHzで動かしもした。今も、75MHz×3の225MHzの安定した設定で、娘がインターネットアクセス用として使用している。

    (6)ABIT BH6

     スロット1のPentium2やセレロンが世に登場し、暫くした頃。128Kのキャッシュを搭載したセレロン300Aがほぼ確実に450MHzで動作するとの情報に、そろそろマシンのグレードアップをと思い立った。雑誌記事の情報では、セレロン300Aと440BXチップセットを搭載したABITのBH6の組み合わせが面白そう。この情報を元に、98年10月25日三宮のドスパラでこのマザーを購入した。セレロン300AとPC-100メモリ64MBのセット購入。予定どおりに、セレロンは450MHzで動作した。このマザーと450MHz駆動のセレロンの組み合わせは、我が家のメインマシンの座に長く居座ることになる。
     バスクロック100MHzの威力は大きく、後年に、FC-PGA変換下駄(SlotKET)を手に入れた頃、66MHz駆動の各種セレロンとパフォーマンス比較をしてみたが、733MHzのセレロンとさして変わらないパフォーマンスであった。

    (7)ABIT AB-PN5

     98年11月21日、久しぶりに秋葉をうろついていて購入したジャンクのATマザー。バーゲンインで見付けた。段ボール箱の中に無造作に放り込んであった。430HXチップセットが載っている。良く見てみるとBIOS-ROMが無い。これでは動くはずもない。まさしくジャンク品。値段は、1,200円。
     じっと眺めていて思いついた。自宅には、BIOS-ROM用のフラッシュメモリの予備があったはず。マザーボードの型番は分かっている。BIOSはインターネットから入手できるだろう。これを買って帰れば、暫くは色々と楽しめそうだ。
     ということで、1200円のジャンクマザーをわざわざ神戸まで持ち帰った。翌日にはBIOSを入手し、フラッシュメモリに書き込み、ボードに差し込んだ。これだけで動けば儲け物。しかし現実は厳しい。CPUとメモリを載せ電源を投入する。BIOSは立ち上がるのだが、C-MOSエラーが出る。どうやら電池が切れているらしい。電池など交換すれば済むといいたい所だが、ボードのどこを見てもボタン電池らしきものが無い。この頃のマザーは、C-MOSとリアルタイムクロックとボタン電池が一つにモールドされたプラスティックのモジュールを搭載しているものが多い。このマザーもその一つ。手元にあるR528WPも、T2P4も同様だ。電池はモールド内部に封入されており交換は不可能。ここで諦めるのも癪に障る。半田ごてを持ち出してプラスティックモジュールを溶かして見ることにした。じっくり時間をかけて、なんとか電池を取り出し、新品に交換した。これで、起動時にエラーは出なくなったが、動作テストを進めていくと、2次キャッシュが有効に働いていないことが分かった。どうやらキャシュメモリが不良のようである。これでは再生利用もおぼつかない。とはいえ、正常に動作した所で使い道のないボードである。わずか1,200円の投資で、一月あまり色々と遊べただけでも価値はあったというもの。粗大ゴミ収集の日に、家庭ゴミと一緒に捨ててしまった。