真空管アンプとマザーボード 2003.5.4

     マザーボードの技術革新が早いということを先にも書いたが、暫くこの世界から目を離していると、その間の技術進歩に驚くと共に、とんでもないマザーボードが売り出されていることに驚嘆する。

     PCの自作を始めた頃からDOS/Vマガジンで情報収集することが常になっているが、この雑誌、毎回購入しているとマンネリとなる。そこで、暫く購入を見合わすこととなる。この間に新技術が投入されると、全くの技術オンチに陥り、PCショップに足を運んだ時に、その様変わりに戸惑ってしまう。  セレロンの登場しかり、Socket370の登場しかり、DDRメモリしかり、数え上げればきりがない。今回もそんな話題。

    真空管アンプ搭載マザーボード AX4B-533Tube  インターネットで何気なく情報検索していた所、「真空管アンプを搭載したマザーボード」という信じられない製品がある事を知り驚いた。なるほど、サウンド機能がオンボードになり、オーデイオアンプのICも載るようになった昨今、ボード上のアンプに真空管を使うというコンセプトが生まれてきても不思議ではない。しかしそれにしてもである。このマザーは昨年(2002年)夏に、数量僅かの限定版が発売され完売したとのこと。年末には後継ボードが発売され、こちらは限定品ではなく恒常的に販売されているらしい(確認していないので今も在庫があるかわからない)。

     奇をてらったこんなマザーを作るメーカーは、ノーブランドメーカーかと思いきや、さにあらずAOpenである。そういえば、AOpenのマザーには、大阪弁をしゃべるBIOSが搭載されたものもあった。日本市場を良く研究しているAOpenらしい製品と感心する。

     自作といえば一昔前はアンプやスピーカーというのが定番であったが、最近は、自作といえばパソコンと言うほどにパソコンの自作が普及している。オーディオマニアとPCマニアは自作という面では、どことなく繋がっているように思う。両方が趣味という人もあろう。そんな人をターゲットにこのマザーを開発/販売したのかも知れないが、よくよく調べて見るとこのマザーの真空管アンプ部分は、自作といっても何もする所がない。半田付けも一切無く、附属の真空管をマザーボード上のソケットに差込むだけのもの。使われている真空管もミニチュア管であり、PCケースの中にすっぽりとその真空管は隠れてしまう。真空管アンプの特徴であるチューブのヒーターが赤くほんのりと灯る姿を眺めるという楽しみはない。真空管アンプの自作派からみれば、なんとも面白みのない代物。やはり、変わり物を集めることを趣味とするマニアが購入するマザーではなかろうか。現在、後継機種発売から数ヶ月経っているがどの程度売れているのだろうか。値段がもう少し安ければ私なら買ってしまいそうだ。

     真空管アンプの話しはここまでにして、このマザーのパソコンとしての基本機能についてちょっと面白いと思ったことがあるので書いておく。このマザーに限らず最近のマザーボードにはどれもサポートされているのかも知れないが、このマザーのスペックを見ていて感心した点が何点かある。キーボードやUSBに出力されている電源を保護するヒューズが、それまでのものからリセッタブルヒューズに変更されている。一般的にヒューズはボードに半田付けされており、切れるとボードに手を入れる必要がある。これが、回復可能なヒューズになったのである。一度マザーのヒューズを飛ばした経験を持つ者として大いに歓迎する機能だ。次に、AC電源自動復旧機能。ATXボードでは、一旦AC電源が落ちると、回復してもマザーが立ち上がらないということがあるようだが、これを自動復電するという。サーバー用途向けの機能ということらしい。他にはケース開放センサーの取り付けも可能となっている。

     スペックを見直していて気がついた。やはりAOpen製である。おしゃべり機能(Dr. VoiceIIと呼ぶ)がこのボードにもしっかりと載っている。