MOドライブの修理 2003.6.7

    MO Drive Unit  先日の不注意な作業によりMOドライブに不具合を来たしてしまった。症状は、ディスクを差し込んだままOSを起動した時だけ順当にアクセスできるというもの。ディスクをイジェクトすると、必ず「ディスクの取り出しに失敗しました」というエラーが表示され、取り出しに失敗する。分解した時に、差し込んであったままのディスクを無理矢理引き抜いた事で、メカニカル機構のどこかを傷めたことが原因かと思う。

    ドライブ 表面
    MOドライブ 表面
    SCSI-ID設定用ディップ
    スィッチがある
     そこで、さらに分解して修理に挑戦して見ることにした。本来なら外してはいけないネジを緩め、不可視レザー光線の外部への不要な漏れを防止しているカバーも無理やり取り外し(こういう行為が失敗を招く)、メカニカル機構が良く見えるようにした。ざっと目視した上、メカ機構を手で動かして見た限りでは、メカ機構部分に不具合点は特に見られない。部品の破損なども見られない。次に、SCSIケーブルは接続せず、ドライブ単体に5Vの電源だけを繋いで調べて見ることにした。

     MOディスクを差し込んだまま電源を入れる。モーターが回転して正常に動き出す。次に、パネル正面のイジェクトボタンを押してやると、小さな電磁モーターが動き(1回転し)、カム機構によりディスクを留めているストッパーを外す。バネの力により、ディスクがユニットから半分飛び出る。ディスクを回転させていたモーターは停止した。イジェクト動作の完了である。この時点でイジェクトを制御する小さな電磁モーターは、本来停止するはず。

    制御基板
    表側カバーを外すと
    制御基板が見える
     ところが、おかしな事に、電磁モーターがこの後、数回回転しカム機構を動かす。まだ、ディスクが飛び出ずに中に入ったままであると思っているのか、ストッパーを外す動作を繰り返すのだ。数回回転した後、取り出しエラーとなるようだ。OSが「ディスクの取り出しに失敗しました」というメッセージを表示する現象に一致する。この後、ディスクを差し込んでも、モーターは回転しない。この後の再度のイジェクト操作は、全く同じ症状を呈する。どうやら、ディスクが飛び出した事を、回路が認識できていないようである。ドライブを制御している電子回路部分では、ディスクが差し込まれたままの状態であるかのように認識しているようだ。

    ドライブ 裏面
    MOドライブ 裏面
    レーザー漏れ防止
    カバーがしてある
     では、次にディスクを差さずに電源を入れて見る。この時の状況は2通りあり、イジェクト動作が勝手に始まる場合がある。数秒間隔で、数回のイジェクトを試みる動作が起こる。もう一つの場合は、いわゆる正常動作で、ディスクが差し込まれるまで、静かに待機している。この後、ディスクを差し込んでやれば、正常にモーターが回転する。しかし、この後のイジェクト動作は不具合を起こす。

     ディスクの装着、取り外しを感知しているセンサーがどこかにあり、そのセンサー機構がうまく働いていないと判断できる。それではと、このセンサーがどこにあるのかと、良く調べるのだが、どこにあるのか全く判らない。ひょっとして、何か小さな部品で作られており、ディスクを無理矢理引き抜いた時に壊して、どこかへ紛失してしまったのかも知れない。全く持って、お手上げ状態である。

    メカニカル機構部
    裏側のカバーを外すと
    メカニカル機構部分が見える
     こういう場合には、正常に動作している製品と見比べて見るのが良い。幸い職場に同型式のMOドライブがあった。それを分解し、どこかに違いがないか両者見比べて見た。目視では、まったく違いがない。それではと制御基板を双方で入れ替えて見ることにした。動作結果は、やはりダメだ。制御基板の問題ではない。元々、不具合の原因は、ディスクの装着センサーにあることがはっきりしている。そこで、もう一度、メカ部分を、手動で何度も動かして見た。そして、諦め宜しく、基板を元に戻した訳だが、なぜか、この時から不具合は直ってしまった。

     ひょっとして、基板まで取り外したことによって、何か電気的なリセットがかかったのだろうか。それとも、何かわずかなタイミングの差で不具合が起こっていたのだろうか。原因不明ながらも、直ったから幸いだ。その後、何度も挿入、イジェクトのテストを行ったが、それ以来まったく正常に動作する。諦めずに、しつこく挑戦した事が幸いしたようだ。