カードがストレス? 2005.1.13

     一昨年、東京に出張した際にJR東日本の「スイカ」カードを初めて目にした。 サラリーマン風の人々が、自動改札機の上にパスケースを触れただけですいすいと改札機を通り抜けて行く。

     最初、スイカと聞いて、夏の風物「西瓜」を思い出したが、「スイスイ通れるカード」という意味で、「スイカ」とネーミングされたとものだとすぐに想像出来た。なんとも簡単なネーミングである。シンプルイズベストか。知人に詳しく聞いて見ると、通勤定期券+プリペイドの機能を持ったICカードだという。

     今までの定期券や切符は改札機の中を通していたのでそれに比べると格段にスピィーディだし、 予めチャージしておけば乗り越し精算も不要で大変便利だそうである。さすが日本の首都東京と感心をした覚えがある。暫くして、東京に単身赴任することになったが、残念ながらこのスイカカードを持ち合わせる機会は無かった。

     東京の任を解かれ関西に戻ってきたちょうどその頃、JR西日本でもこのICカードが導入された。 周知の「イコカ」カードである。こちらは、「JRでどこまでも行こうよ」とか「さっさっさと行こうよ」とかなんとか、まぁそんな類の語呂合わせでできたネーミングなんだろう。東のスイカ、西のイコカである。

     東京では経験した事のないこのICカードを昨年春頃から通勤定期として使い出した。なるほど、改札機を通り抜けるのは非常に便利だ。JRに乗る機会は通勤以外にはほとんどなく、チャージもしていないので乗り越しの便利さなどは良く分からないが、朝夕ラッシュ時の改札の通り抜けが便利になっただけでも十分にメリットを感じる。

     ただし、こんな便利なカードでも不便なことがある。新大阪駅から新幹線に乗る際、いつもなら降車する大阪駅を通り越して新大阪駅まで乗り越した。新大阪駅で在来線構内から新幹線構内へ入場する時、従来は定期券と新幹線切符を改札機に入れればさっと通れたのだが、今回は駅員にイコカカードと新幹線切符を見せて入場することとなった。その夜、東京から戻り、新大阪駅からそのまま在来線に乗り換えて帰宅したのだが、いつもの降車駅でこのICカードが自動改札機を通過できない。「出場記録がない」と自動改札機が文句を言う。直ちに駅員にカードを見せ、記録を消去してもらって駅を出た。

     新幹線乗り換えの際の不便さはともかく、通勤には便利に使っていたイコカだが、いつの頃からかどうも調子が悪い。乗車駅の改札機で「ありがとうございます」と通過許可の表示が出たと思ったらすぐに「もう一度ふれてください」とやり直しを求められる。こんな事がたびたび起こる。降車する大阪駅でも同様な現象が発生する。数回に一回程度の割合だ。ひょっとして改札機の読み取り装置が悪いのかと想い、いつも通る改札機を避けて別の改札機にしてみたりするのだが駄目である。一度ならず駅員の所へ持って行き、入場や出場の記録を消去してもらったことがある。今持っているイコカ、まだ一年も使っていない。半信半疑、どこか欠陥でもあるのかしらと駅員に見てもらうが異常ないですよとつれない返事。

     スイスイイコカどころか、やり直すたびに改札機内で立ち止るものだから、後について来る他の乗客が嫌な顔をする。こんなことが何度も起こると、改札機をくぐるのが億劫になってくる。最近は改札機を通る度に緊張してしまう。また引っ掛かるのではと身構えてしまうのだ。こうなるともう完全にストレス。イコカなんて止めて元のあのペラペラの定期券に戻そうかなんて思ってしまう。

     話変わって、勤め先の社員証がイコカと同じようなICカードに変わった。入居するビルのドアの開閉や自動販売機などの飲食がカード一つで行えるようになった。これまた便利になったわけだが、実際の仕事場はこのビルに無く別の場所なのでこのカードを使う機会はあまりない。とはいうもののこのカード、パスケースにいつも入れて持ち歩いている。

     パスケースの中には、もう一つ市バス用のプリペイドカードが入っている。こちらは一週間程度で一枚消費するのでしょっちゅう購入する。先日も新しいカードを購入しパスケースにしまおうとパスケースを開いた時にふと気が付いた。

     2つ折のパスケースだが、閉じた状態で、イコカ、市バスカード、社員証、市バス予備カード、図書館入館証、テレフォンカード(今更こんなの使うか?)の順に納まっている。この中で、イコカと社員証がICカードである。ケースの皮2枚と市バスカードでイコカと社員証が重なっている。ひょっとしてこれは、......。

     私が何を思ったかもうお分かりだろう。JRの自動改札機のカード読み取り性能がどれほどのものか知らないが、社員証のICカードが自動改札機に反応しているのかも知れない。これがためにイコカの読み取りが誤るのかも知れないと思うのだ。こう気が付いて社員証は別の所にしまい込んだ。現在パスケースの中のICカードはイコカだけ。

     と、ここまで書いて、イコカのホームページを念の為に調べて見た。案の定イコカと他のICカードを一緒にするなと注意書きがある。これを早く読んでおけば良かったのだが、駅員からこんな注意、一言も無かったのが不思議。

     社員証とイコカを離して2日余り、改札機をくぐる機会は数回とまだ少ないが全て無事に通れた。
     これでストレス解消!