オーディオ機器のジャンク品を入手して、その修理を楽しんでいますが、何台も修理を行っていると、故障のパターンが見えてきます。故障といっても、トランジスタやその他の電子部品が壊れるということは稀で、故障の原因は簡単なことです。ヒューズ切れやレンズの汚れ、ベルトのヘタリなどが主な原因です。製品それぞれに特有な故障もあります。今までに行ってきた修理の経験から判ったことを少し纏めてみました。 素人修理ですので、毎回毎回修理が成功するわけではなく、DENONのMDデッキDMD-M10は、弄くり回しすぎてピックアップを壊してしまいましたし、Victorの3CDチェンジャーは、ピックアップのレーザー出力を上げたことによりその寿命を縮めてしまいました。ジャンク品だからこそ出来る失敗で、またそれも楽しみというものです。 DENON CDレシーバー・アンプ UD-M3 このCDレシーバー・アンプは、ある程度の年月を経ると、ある日突然にCDトレイが開閉出来なくなります。故障原因は、CDプレーヤーのメカニズムを制御する電源回路のヒューズ切れです。 ヒューズの容量は、500mAなのですが、この回路に流れる瞬時電流は500mAぎりぎりかもしくはそれを少し越えるのではないかと思われます。ヒューズが新しい時には問題ないのですが、経年によりヒューズが自然劣化してくると、通常使用における瞬時電流でも切断してしまうようです。対策としては、もう1ランク上の750mAか1Aのヒューズにすることです。 当方が検索した限りでは、国内サイトではこの現象は報告されていませんが、海外サイトでこの修理報告を一件見つけました。修理内容が写真付きで報告されています。
ヤフーオークションに出品される「UD-M3」のジャンク品の商品説明を読むと、ほとんどが「CDトレイが開閉しません」とあります。実際、当方が手に入れた3台のジャンク品も全て、CDトレイが開かず、原因もこのヒューズ切れでした。 このヒューズですが、基板上に半田付けしてあり、一見すると普通の抵抗に見える形をしています。ちょっと見ただけでは、ヒューズ切れかどうか判りづらいのが難です。 CDプレーヤーのジャンクで、CDトレイが開閉しないという場合には、大抵が開閉用ベルトのヘタリが、原因なのですが(ONKYOのインテックシリーズなどはそうです)、このUD-M3は、その予想を見事に裏切ってくれるわけで、修理に挑戦して原因が判らずに諦めた人も居るのではないかと思います。 もう一点、このアンプ特有の不具合として、ボリューム不良があります。通常ボリュームは右に回すと音が大きくなり左に回すと小さくなりますが、このアンプでは、右に回した時に音が小さくなったり、その逆の動作をするようになります。 3台入手した内の2台がこの不具合を抱えていました。1台は酷いもので、右に回そうが左に回そうがボリュームの値が、10〜30の間でフラフラと大きくなったり小さくなったりします。 操作パネルのボリュームの回転に応じてマイコンが電子ボリュームを制御するわけですが、パネルのボリュームがガリってきて、このような症状に至っているのだと思われます。少しガリの発生が早いように思います。 DENON カセットデッキ DRR-M10 KENWOOD カセットデッキ X-SE7,X-SG7 この3台のカセットデッキは、ある程度の年月を経ると、一度閉じたカセットトレイがまた勝手に開いてしまうという不具合が発生します。この3台のデッキは、同じ構造の水平トレイを使用しており、このトレイの開閉用ベルトがヘタルとこのような現象が発生します。 ベルトのヘタリでトレイが完全に閉じないために、開閉状態を検出しているセンサー(ただのマイクロスィッチです)が正常に動作しないためです。ベルトを交換すればこの現象はなくなります。 これらのカセットデッキには、トレイ開閉用の他にもテープ走行用としてメインベルト、プーリーベルトの計3本のベルトが使われていますが、開閉用ベルトが最初に不具合を起こすようです。 単品コンポ、ミニコンポに係わらずカセットデッキの動作不具合は、ほとんどがベルトのヘタリが原因です。それぞれのデッキのメカニズムの違いによって、発現する症状に差異はありますが、まずはベルトを疑って見ることです。
AIWAのミニコンポで、電源を入れた直後に暫くの間カセットデッキ部分からカタンカタンと異音がし、異音が消えた後もテープが使えないという不具合が発生しましたが、これも走行用ベルトを交換しただけで直りました。 KENWOOD チューナー・アンプ R-SE7,R-SG7
このチューナー・アンプは、ある程度の年月を経ると、右または左側のスピーカーから音が出なくなります。一度ボリュームを右に回して大きな音を出そうとすると、音が出るようになりますが、電源を切るとまた出なくなります。 原因は、アンプの出力リレーの接点不良です。スピーカー保護のために設けてあるリレーの接点が酸化し、その酸化膜による接触抵抗で音が出なくなります。一度大きな電圧を掛けると酸化膜が破れて繋がるものと思われます。リレーを交換するか、あるいは接点を清掃してやることでこの不具合は解消します。 一般的にアンプ出力にはリレーが設けてありますが、相当な期間使い込むとこのような現象が現れます。70年代、80年代に製作されたアンプであれば、このような症状が見られることもあるかも知れませんが、R-SE7、R-SG7では、発症に至る期間があまりにも短いように思います。リレー接点の材質の問題なのかも知れません。
さらに、このアンプは、表示パネルの輝度低下が激しいように思います。組み合わせるDP-SE7、やDP-SG7の表示パネルは、いつまでも輝度を保っているのに、なぜかこのアンプだけが暗くなります。 同時期に製作されたDENONのLapisiaやONKYOのINTECなどは、いまでも表示パネルは十分な明るさを保っていますので、KENWOODの製品は、蛍光表示パネルに低コスト品を使っているということかも知れません。 KENWOOD CDプレーヤー DP-SE7,DP−SG7 このプレーヤー特有の現象ですが、選曲ボタンの「次の曲」を数回押し続けて、再生する曲を一気に飛ばしてやると、電源が落ちてしまうことがあります。この不具合が進行すると、電源を入れた途端に電源が落ちるという症状に至るようです。 当方が使用している物は、まだ前者の状態で留まっていますので、原因を調査してはいませんが、基板上のパターンのクラックか半田クラックあたりが原因ではなかろうかと推測しています。本格的に不具合が発生するようになれば、詳細な調査をして見たいと思っています。
CDプレーヤーの一般的な不具合症状としては、音飛びがしたり、CDが認識できなくなる、というものが良く知られていますが、これらは、ピックアップのレンズを清掃することで大抵直ります。 このレンズ清掃ですが、市販のCDレンズクリーナーではあまり効果が期待できません。やはりヘッドクリーナーや接点洗浄液として市販されているアルコール類を使って清掃するのが一番です。当初、綿棒を使っていましたが最近は、柔らかい毛で出来た細筆を使っています。レンズ表面は丸くカーブがかかっていますので綿棒ではレンズ全体が拭き取れず、筆に変更した次第です。
まずは、レンズ清掃でほとんど修理できますが、これでも駄目な時は、ピックアップにあるレーザー出力ボリュームを弄くってレーザー出力を調整します。これで殆どのCDプレーヤーが元気になり、CD-Rも読めるようになります。 ところが、これでも駄目な場合があります。CDを全然認識しない場合には、ピックアップの寿命としてあっさりと諦めることもできますが、性質の悪い現象として、電源投入直後とか、選曲動作をした時とか、あるきっかけがある時に音飛びしたりするような場合です。安定して動いている時は、全然問題ないのですが、突如として激しく音飛びしたり、再生停止したりするような不具合を何度か経験しています。 このような場合には、測定器を持たない感だけが頼りの素人修理では何とも手の出しようがありません。下手をすると弄くり回しすぎて、完全に駄目にしてしまうのが落ちです。 その他(MDデッキ、ミニコンポ) 良くある症状に、半田のクラックやパターンのクラックがあります。これらは、良く基板を眺めて見ないとなかなか見つかりません。マイコンが動かない、パネル表示が出ない、ボタンを押しても反応がない、などの場合には、クラックが起きていないか調べて見ることです。 |