MS−DOSには、入出力のリダイレクト機能がある。その標準出力のリダイレクトの指定には、> 記号と >> 記号の2種類があることは、誰もが知っていることだ。しかし、その用法については、若干の注意がいるようだ。
リダイレクトの簡単な使用として、CONFIG.SYS や AUTOEXEC.BAT など、小さなファイルを作成する時に、A>COPY CON CONFIG.SYS とよくやる。そして、既にあるCONFIG.SYS に1,2行程度追加する時にもエディタなど使わず、A>TYPE CON >> CONFIG.SYS とリダイレクトにより行うことができる。この場合、 >> 記号は、既にあるファイルに追加するものであり、コンソール入力をCONFIG.SYSファイルに追加出力したことになる。ここで、A>COPY CON >> CONFIG.SYS としてはダメである。
このようにして簡単に既設ファイルに追加できるというものの、問題点がないかといえばそれがある。ちなみに手元にあるいくつかのファイルについて、TYPE CON >> filename.ext として、追加を行い、TYPE filename.ext としてその結果を画面表示させてみると見事に追加部分が表示されない。あれや、これやとファイルを変えて実験して見ると、追加部分が表示されるものもあれば表示されないものもある。COPY CON filename.ext として新規ファイルを作成し、次に TYPE CON >> filename.ext とした場合には追加部分の表示がでる。追加を行う元のファイルを EDLIN や MIFES などのエディタで作成したものについては、追加がうまくできない。手元にあったファイルは、ほとんどがエディタで作成したものであり、追加部分の表示がされなかった。
この原因は調べるまでも無いことであるが、一応念のため DUMP filename.ext として確認して見ると、案の定、元のファイルの最後に EOF が書かれていた。エディタがファイルの最後に EOF を書いているために、その後ろにいくら追加しようとも追加部分は表示されないわけだ。当然、CONFIG.SYS にデバイスドライバの定義を追加しても、それはシステムに組み込まれない。
最近は、書店で「MS−DOS早わかり..」の類の本がたくさんでているが、この当りのところまで、言及したものにはあまりお目にかかったことがない。メーカーのマニュアルの焼き直し的な書物が大部分であり、本当に知りたいことを書いている適切な物が見つからない。やはり、パソコンというものは、自分で使って見て、経験を重ねるしか覚える道がないのだろうか。
(注)一行だけの追加ならば、A>TYPE CON >> CONFIG.SYS より A>ECHO ****** >> CONFIG.SYS とする方が簡単である。(**** の部分が追加内容)