仕事柄、各メーカーのパソコンに触れる機会が多い。M社のラップトップパソコンを使用した。このパソコン、一目見て笑ってしまった。CMのうまさ、洗練された製品デザインで有名なM社の製品にしては、なんともお祖末の一言。ボディ色はパッとせずキーボードに至ってはキートップがガタガタで、キーを叩く時に発するメカの音がなんとも下品。ソフトによるキークリック音なんか全く不要のキーボードと見た。
一応、MS−DOSが走る。DOSのディスクに付いてくるメニューソフト。これがまたまた結構な代物。走らせて見ると画面の上部1行目に、複写、初期化、等の日本語メニューが表示される。これがたった4つしかない。DOSの基本コマンドの DIR,TYPE,DISKCOPY,FORMAT を選択して起動するだけだ。N社のメニューのようにAPLの登録なんてできやしない。これだけの4コマンドのためにメニューソフトを使う人なんているんだろうか? N社のメニューにしたって誰も使っていないと思う。後発のM社としては、N社がメニューを添付しているから我が社も添付しなければと考え、あの程度のソフトで事足れりとしたなら、それこそお笑いである。N社にしても、あんなメニューなんて誰も使わないと分かっていながら、あえて添付している。その理由は、パソコン界のリーディングカンパニーとしての自負と技術力のPRであろうと思う。使ってもらわなくて結構、こういう事も考えてます、できます、ということを分かってくれたらそれで良い、というのが本音だろう。
この観点からM社のメニューソフトを眺めてみると、まさにその逆。お噂どおり我が社は、情報処理は苦手です、一生懸命作ってもこの程度しかできません、と自ら語っているようなもの。
この話、まだおまけがつく。このメニューソフトのドキュメントの最後の一行に、これはLattice−Cで作成しました、とご丁寧に断わり書きがある。これには、まいった。(追)
ランタイムルーチンの版権から考えて正直に書いたのだろうが、こんな断わり書きは、他のハードメーカのソフトには見たことがない。N社なんかだったら、文句あるなら言って来い、しかし今後は我が社の製品情報は流さないぞ、と逆に脅かせる強い立場にあるのだと思う。こんな所にも気を配らなければならない程、M社は情報処理分野において力がないのだろうかと、若干疑問を感じないわけでもないが、これが真実かも。