娘の雛人形を入れている人形ケースのガラスが割れた。段ボール箱に入れて片付けておいたのだが、その上に物を置いておいたために、その重みで割れたようだ。団地用の小さなケース入りの雛人形で、大した代物ではないがどうも雛人形というもの、なにかしら魂でも持っているかのような気がし、まさかとは思うが、このまま放って於いては、娘の身に何かあっては困ると、早速修理してもらうことにした。
近くのガラス屋に電話。すぐに見に来てくれるという。暫くして、見るからに人のよさそうな、年輩のおじさんがやってきた。いかにも、年期の入った感じで、話言葉も大変丁寧。物が物だけに、何かしらほっと安心。ケースを少し調べてガラスの抜けた上部の枠だけを持って帰られた。夕刻になると、直りましたよ、とまた来てくださった。気になるお値段を尋ねると、「出張料金2000円、ガラス代2000円の締めて4000円頂戴したいのですが、」と言いつつ、「これだけの事でそんなに頂くわけにもいきませんのでね、3500円にしときますよ」、とおっしゃる。これが、高いのか安いのか、相場はよく知らないが、まぁ、これで娘に災いが起こることもあるまいと思えば、必要な物は必要と納得。
それにしても、最近は本当の意味での職人さんが少なくなったのに、このおじさん、なかなかの職人さんと感じてしまった。なぜそう感じたのかは、ちょっとよくわからぬが、ひょっとして雛人形がそう感じさせたのかも。